工学が社会を変える~第2話「工学の社会実践で学ぶ教育プログラムとは⁉」~
三郎さんの教育プログラムについて詳しく聞かせてもらえますか。
来年度、工学部が新たに改編されるんだけどね、私の担当する教育プログラムは、その改編で工学部に新たに設置される「総合工学クラス」に作られるんだ。その教育プログラムでは、モノを作ること以上に、作ったモノが社会でどのように使われ、その結果、社会がどのように変わっていくのかまで考えられる人材を育成していくつもりだよ。そして、その先には、今、社会が抱えている課題を探求し、その社会的課題を工学技術によってどう解決するかまで考えられる人材も育成していきたいと考えているんだよ。
リニアの話との関係ではどうなりますか?
リニアの話だと、山梨でリニアができることによって、人の流れや物の流れがどのように変わって、それがどう活性化につながるのか、だね。
私の担当する教育プログラムであれば、その活性化効果を数値で示し、それを県内だけでなく全国にアピールすることで、山梨の魅力を目に見える形で示していくといったことに取り組んでいきたいなと考えているよ。
なるほど、山梨の魅力をアピールすれば、人口増加とかにもつながりそうですね!
もちろん、教育プログラムで学ぶことは、交通面だけじゃないよ。リニアが開通すれば、多くの魅力的な企業が集まってくるという話をしたよね。
山梨は、元々ものづくりが盛んな地域なんだよ。だから、最先端の工学技術をつかって、高機能なパソコンを作ることができれば社会はどう変わるのか。リニア駅ができる周辺には山梨大学病院もあるから、例えば医療機器や医薬品の開発で社会をどう変えるのか。等々、さまざまな社会的課題の解決につながっていくと期待できるんだよ。
工学の観点から、いろんな課題が見えてくるんですね!
このように工学の基礎知識を基に、いまある課題を社会的、総合的にとらえて、その解決策の提示にまでつなげて欲しいんだ。
工学部のイメージがすごい変わりました!専門知識以外にも、いろんなことが学べそうですね。
ありがとう。工学の魅力が伝わってうれしいよ!
さらにね、社会的課題の解決策の探求だけではなく、それを論理的かつわかりやすく伝えられるように、表現力やコミュニケーション能力を修得できるような教育もするよ。エンジニアリングデザイン能力が大事だからね!
エンジニアリングデザイン?どんなものでしょうか?
エンジニアリングデザインっていうのは、技術者が社会に負っている責任を理解した上で、工学技術が社会や自然に及ぼす効果や影響にも配慮し、それらの知識を統合して社会的課題を解決する能力のことだね。
そうなんですね!技術者が社会に負っている責任、及ぼす効果を考えることは難しそうですね。
確かにね。
でも、社会に関心を持ち、地域活性化のために、いまある工学技術をどのように使えばよいのか、あるいはこれから新たにどういった工学技術を開発すればよいのか、という観点を考えることが大事じゃないかな。その場合、自分が使おうとしている工学技術の社会や自然に及ぼす効果や影響まで、当然考えることになるし、それを踏まえて責任ある判断ができるようになると思うんだ。
なるほど~。ちなみに三郎さんが今注目している課題やリニアによる効果などは何かありますか?
そうだね~、今はフードバレーという食と農によるまちづくりに着目しているよ。
フードバレー・・・、聞いたことありますが、意味までは分からないです・・・。
次回:「フードバレーとは?」