工学が社会を変える~第3話「フードバレーとは⁉」~
フードバレーって何ですか⁉
フードバレーとは、食の充実が地域の農業の発展につながるとの考えに基づく、地域活性化の取り組みのことだよ。
地域の名産品などを全国にPRして盛り上げていくようなことですか?
それももちろん大事なんだけど、それ以上に、地元の食材を地元で消費することにより、地域を元気にしようという取り組みだね。
地産地消ですね!なぜそのような取り組みが必要なんですか?
逆に質問なんだけど、なぜ今、地域産業が衰退してしまっているか分かるかな?
うーん、分からないです。教えてほしいです!
一昔前までは、食にとって必要不可欠な食材は、地域の農業から仕入れていたんだ。しかし、これも交通の発展による効果の一つともいえるけど、海上輸送技術の発展により貿易の費用が低減したことから、地元の食材ではなく、安い海外の食材を仕入れることができるようになったんだ。それは、コストの面だけをみれば効率的だよね。
そうですね、スーパーに行っても海外産の肉とか野菜が安くて選んじゃいます。
でも、その結果、地域の食材が消費されなくなり、地域の農業が衰退してしまったんだ。しかしこれは、厳しい言い方になるけど、経済の面では競争原理が働いた結果だから、受け入れざるを得ないといえるんだ。ただし、これは経済取引の内部の話。
その一方で、地域農業の衰退によって耕作放棄地が増えていて、その結果、害獣による被害や水害リスクが高まるという問題が起こっているんだよ。
農家の方がいなくなって、管理されなくなった結果ですね。
そうだね、これは経済取引の外部の問題であることから「外部不経済」と言われているよ。
なるほど。なんとなくイメージができました!
そのような外部不経済の問題を解決したいと思い提案したものがフードバレーなんだ。地域の食と農を繋ぎ、地域の農業を活性化させる。それが、食の充実に加えて、外部不経済の抑制につながり、環境も改善されると期待されているんだ。環境が良くなれば、みんなの生活も健康的で豊かなものになるよね。
それを、地域の中の経済循環によって実現するものがフードバレーなんだよ。フードバレーによって、食や農に関わる経済の問題と、外部不経済と呼ばれる環境の問題を、同時に解決できると考えて研究に取り組んでいるんだよ。
なるほど、そうした問題は食以外にも当てはまりそうですね!
そうだよ。地域の産業を地域で支えて発展させるのは、食だけではないよ。
例えば山梨では半導体や燃料電池などにも非常に力を入れていて、そのような産業も山梨の経済を支えているよ。
社会的な課題を工学の観点から解決していく方法って他にどんなものがあるんですか。
そうだね、私の知り合いに電気電子工学や医学と工学を融合した医用工学を研究しているカズローさんとヨシローさんがいるんだ。
紹介するから話を聞いてみるといいよ
ぜひ!一つの問題から色々な話に繋がりますね~