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センター長挨拶

 生産年齢人口は減少しており、少子高齢化によって日本の労働市場における人手不足が深刻化しています。特に地方は人口減少・高齢化、産業の衰退の危機に直面し、労働力不足や社会保障の課題が浮き彫りになっています。また、多様な産業の育成が求められています。


 これらの課題を解決するため、2018年に答申された文部科学省の「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」では、地域のニーズに応える高等教育機関の充実や地域の強みや特色を活かした連携や統合の推進などによる高等教育改革の必要性が提示されました。
 山梨大学は、地域活性化人材育成事業などを通じて、地域のニーズに応え、地域課題の解決を推進できる人材を育成し、豊かな暮らしを実感できる地域の実現に向けて貢献したい考えています。

  「知(地)のソーシャルキャピタル-学びの山梨モデル構築事業-」は、山梨県立大学と山梨大学が協力して推進している、地域と大学が一体となり、分野横断的に課題解決に挑む地域人材の育成を目指す教育改革プログラムです。このモデルでは、高校生、大学生、社会人に対して一貫した学びを提供し、山梨で学ぶことの意義を知り、誰もが学びを通じて自身と地域の成長を実感できる仕組みを目指しています。具体的には以下の特徴を通じた教育改革を目指しています。

① 分野横断的な課題解決能力の育成:「学びの山梨モデル」では、異なる分野の知識やスキルを統合し、地域の課題に取り組む能力を有する人材を育成することを目指します。

②垂直統合型人材支援体制の構築:高校生、大学生、社会人に対して、一貫した学びを提供することで、地域で活躍できるリーダーや産業中核人材を持続的に育成することを目指します。

③ 文理横断的な学びの提供:学際的なアプローチを強化し、異なる学問領域を横断する教育を展開することを目指します。これにより、学生は幅広い知識とスキルを身につけ、社会での問題解決に挑戦できる力を養うことができると期待しています。

④一体感のある学びの提供:大学間の連携を活用した教育プログラムを通じて、学生は異なる大学の授業を受講し、多様な視点から学びを深めることができるようになります。これにより、社会に向き合う力を養うことを目指します。

 この「学びの山梨モデル」の参加者は、学びの魅力を実感し、また地域社会との協調行動を実践することができるようになると思います。このことを通じて、地域社会の活性化の一助となることを期待しています。

国立大学法人山梨大学
地域人材養成センター長 渡辺 喜道

Well-being時代をより良く生きるためには「非地位財」型の幸せの追求が有用であると言われています。「非地位財」とは、お金や社会的地位・モノなど従来までの成功モデルとして語られてきた客観的指標や相対的な幸せの追求ではなく、自己実現や成長、つながり、自分軸の確立など内在ベースの財のことです。

 自然災害や地政学的な課題のみならず、めまぐるしい技術革新は我々の未来をますます不透明なものにしていますが、この様な社会の変化においても自己の核となる哲学や価値基準を持つ者は幸せを追求していけるものです。まさしく「非地位財」を構築する土台として学びの価値はますます高まっているのではないでしょうか。

 山梨県立大学の地域人材養成センターでは地域に住むあらゆる立場の人々がより良く生きるための学びを提供する拠点となることを目指し、教育プログラムの開発・運営にあたっています。本SPARC事業を通して、大学が地域にとってかけがえのない学びの場となるとともに、地域における学びの意義をアップデートする機会となる事を目指します。どうぞよろしくお願い致します。

公立大学法人山梨県立大学
地域人材養成センター長 杉山 歩