開いていく学び~第1話「太郎、参上⁉」~
スパーク次郎からの紹介を受けて、じんは太郎の部屋に向かいました。
(ええっと、太郎さんの部屋はここかな)
すいません、太郎さんはいらっしゃいますか。
はい~?(上から声が)
あのぉー、この度、次郎さんからいろいろとお話をうかがいましてぇー。
今降りていくからー
お忙しいところどうも、じんと申します。流域という視点で研究教育活動を行っている太郎さんとも地域活性化についてお話ししたいと思って来ました!
じんさんって言うの・・・タローです。よく来たね!さ、どーぞどーぞ。
太郎さんは毎月高知の土佐山という地域(村)に通っているとお聞きしましたが、そうなんですか?
そう、その地域(村)では住民(村民)ひとりひとりが自然と付き合う達人、自律しながらも助け合う達人なんだな。それを知ってから、もう毎月待ちきれなくて。今は自分も弟子入り※していると言っていいかな。
※弟子入りDEEPツアーin土佐山(https://tosayamaacademy.org/programs/create-tourism4/)
達人ですか?
うんうん。山から採りすぎず、かと言って遠慮しすぎでもなく。自然に対する敬意と畏怖の絶妙なブレンドというか。自然とのそういった肌感とか距離感って、現代人が忘れてしまったり、研究者ですら見過ごしてしまったり、が山ほどあるのと違うかな。
それを再発見し、探求しながらつなぎ合わせて、できれば新しく価値あるものをこしらえたいと考えてる。
ところでつなぐと言えば、「グローカル」っていう言葉を聞いたことあるかな。コーヒーいかが?
あ、ありがとうございます、いただきます。
“ぐろーかる”、ですか・・・? グローバルならよく聞きますが。
ええとね、グローバルとローカルを合わせたのがグローカル※。意味としては地域性を考慮しながら地球規模の視点で考え行動する、ということかな。
グローバルは開いていくもので、ローカルは閉じていくもの。その2つがつなぎ合わさることこそが重要だと考えているんだけど、はて、どうすればできるのか。
※1980年代に日本企業が営業戦略用語として使い始め、1992年に社会学者ロバートソンが学術用語として引用した(ウィキペディア日本語版より)
開くものと閉じるものがつなぎ合わさる、、、難しいですね。
確かにね。ただ、ローカルは閉じているとは言え、完全に閉じ切ったらいずれ自滅するかもね。「郷に入っては郷に従え」と言うように、ある実践が地域に受け入れられるには地域のルールを意識せざるを得ない、と言うか意識しないと失敗する。ただ地域に縛られ過ぎても新しいことに挑戦できなかったり、実践が広まらずに消えてしまったり。
だから、地域と世界を往復しながら実践し変身し続けてみる。つながりを追究する意味はそこにある。いま私たちの目に映っているものは、自分も含めて、全体の一部に過ぎないだろうから。それを限りなく境の消えた環境学、「環学」、山で言えば「山環学」というスタイルでとらえ直したい。
なるほど。でも環(わ)は閉じているもの、という気もしますが。
うん、だから閉じ切らない。経験したこと、学んだこと、思考が閉じ切らずに外へと繋がっていく、螺旋※のような感じかな。
※「小さな水」事業の代表(西田・山梨大学)と共同研究者(小澤・北杜市)の間で2022年秋から続いた対話の中で、分散自律組織(DAO)の発展的イメージとして出された
なんとなくですが分かりました!
繋がるっていうと、どこに繋がっていくんですか?
お、鋭い!