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開いていく学び~第3話「人の野生」~

人の野生ってどういうことでしょうか。

欲望や本能、あるいは知恵と呼ばれているものに近いと言うか※1。自分が自然と一体になったように感じたこと、ない※2?自分の中に流れ込んだ、自分の中から湧き出た何かに突き動かされて、興味のあることを夢中になって探究した経験が、なかっただろうか。

※「栽培化されたり家畜化された思考とは異なる、野生状態の思考」( 『野生の思考』, レヴィ=ストロース, 1962)

※「自然は文化として、文化は自然化されたものとして存在する」( 『野生と人為』,ベルク,1986)

興味のあることを探究ですか、、、僕の興味のあることってなんだろう?

興味がわからなくなったなら、好きなことに置き換えてみたらどうだろう。昆虫が好きなら昆虫のこと、昆虫を見つけた場所のこと。食べることが好きなら食べ物のこと、農業のことなど、好きなことから視界が広がることもあると思うんだよね。

うーん、なるほど。ゲームとか戦国武将とか、そういえば好きだったなあ。でも自分の興味があることをいくら調べて知識を蓄えても、極端な話、いい大学には行けないですよね。

受験を成功させるためには、その大学が求めている学力を身に付ける必要があるという話かな。

そうですね、、、

受験という型に身を置くと、自分の探究したいことが一回途切れちゃうよね。

でも、それって高校生の僕たちには変えられないし、立ち止まっている余裕もないですよね。

そうだね。いい大学、成功ってなに、というのもあるけど、大学が誰に何を求めているのか、という問いは大きいと思う。それでも私は、大学という場所は、本当に自分の学びたいことを探究する場所だと考えているよ。好きなことや気になることを探究してしまうのは、高校でも大学でもあるよね。おまんじゅう好き?食べる?

好きです、いただきます。そうすると、大学に入学する前も入学してからも、おもしろいと思うことを根っこに置いて学ぶのが重要なんですね。

そして学びを繋げる、、、。また「つながり」が出てきたね。大学に入学することがゴールだとは思っていないと思うけど、入学して何を学びたいか。興味や目的という言葉がわからなくなっても、好きなことや好きだったことを思い出して、窮屈に感じたら型から出て外の空気を吸ってみてもいいし、気に入ったらそこに巣を作ってもいい。歩いて休んで、また歩きながら、試してみたらどうだろう。

なるほど。でも、「おもしろい」で学んでいる人って、そんなにいるんですかね?

山梨大学で実施している「やまなしジュニアドクター育成自然塾」では、好きなことを探究したい小中学生が大学に集まって、実験したり野外で活動をしていて、その支援をしつつ研究生活を楽しんでいる大学生が何人もいるよ。そんな人たちの「おもしろい」や「学び」ってことを、一度聞いてみたら?

ぜひ、聞いてみたいです。

次回「”おもしろいで学ぶ”って?」」